すねかじり、卒業延期、仕事を探したくない若者 

 1067万という巨大な数字が、中国の大学の今年の新卒者数である。

 就職市場に流れ込む1000万人を超える卒業生と経済の下降圧力とが対立し、大学生の多くは社会進出の入口で出ばなをくじかれている。

 10年前、もし大学のキャンパスで4年生に卒業後に何をするかと聞いたら、きっと、皆、迷うことなく、働き場所を探すと答えるだろう。

 しかし、今、同じ質問をするとさまざまな答えが戻ってくるはずだ。大学院受験、実家に帰って親のすねかじり、卒業の延期などだ。

 簡単に言えば、仕事をしなければ、何でもいいということである。

 仕事をしたくない卒業生は幾つかのカテゴリーに区分できる。

1 寝そべりに徹する

 基本的には、家にお金があって住居があることが条件である。家に少しはお金があるので、子供には仕事を見つける切迫感はそれほど強くなく、せいぜい実家で親のすねをかじって、これ幸いと静かに過ごして食べていけて、それで非常に快適である。

2 半寝そべり状態

 つまり、寝そべっているといっても、寝そべりに徹しているわけではないということである。

 この層は主に大学院試験や公務員試験を受ける卒業生で、更に深く研究したいとか、ある組織に入りたいと考えている。

 試験準備をしながら仕事もすることはできるのだろうかというと、それはもちろん無理で、若者は仕事に専念すべきだし、職探しに影響が出るのでないかということで、とりあえず、落ちつける場所を探し、両親から生活費を受け、寝そべりながら勉強するのである。

3 寝そべったり起き上がったり

 ほかに、寝そべっているとは言っても、そうなっていないようで、起き上がってきては無理したりを繰り返している。

 この2年間で、もしも就職先もなく、公務員や大学院にも合格できなかったがキャンパスからも離れたくない場合には、卒業延期を考えるという卒業年次の大学生も多くなってきた。

 卒業を延期すれば、新卒の身分があり、もう一度秋の就職活動に参加し、公務員試験ももう一度受けられ、学校の寮、食堂、図書館を利用できるのである。

 もちろん、卒業の延期を誰も望んで申請するわけではなく、これまでは試験や論文が不合格の学生が迫られて申請したものである。それが、卒業延期という目標を円滑に達成するために、試験の合否、論文の進度、先生への態度を工夫し始めるようになった。

 実は、今の若者は働きたくないが、それは、全て若者のせいでもない。仕事をしたくても史上最難の就職シーズン、試験に合格したくても史上最高の競争率、海外に出たくても国際関係は緊張感が高まっている。卒業生が寝そべり始めたのは、多くが環境の影響から選択を迫られているということである。

〔養料2022年11月4日〕