00後の消費価値観 お金の使い方、稼ぎ方、節約の仕方
「90後」が年老いていくにつれ、「95後」、「00後」が登場し始めた。
1995―2009年の若者は高度経済成長期に生まれ、その大多数は深刻な物資不足を経験したことがなく、一人っ子として、父母と祖父母の全ての関心のもとで成長し、インターネットの世界にひたり、インターネット社会経済に影響を与える最も重要な集団となっている。
彼らは「Z世代」とも呼ばれ、その規模は中国において2.6億人で、2018年の中国総人口の19%を占めた。彼らの中で既に成人した者はその3分の1にすぎず、つまり、大部分には収入がない。ただし、だからといって、彼らの影響力を低く見積もる者はいない。
コンサルティング機構OC&Cの2018年の研究によると、中国「Z世代」の支出は4兆元に上り、既に全国の家計総支出の約13%を占め、全世界最高水準に達している。
この年代の消費観の特徴を見てみよう。
別世代ではなく、別種類の人
職場の先輩たちの恥を忍んで重責を担い、辛酸をなめ苦労に耐える生活と仕事を一体化させた生活と比べ、「Z世代」は仕事と生活を非常にはっきりと分け、みずからの職場権利を重んじ、上司のもたらす職場の悪習慣に明確に抵抗する。
家庭は全力を尽くし、彼ら一人又は少数の子女のために最高の生活と教育条件を与えた。
「テンセントの「00後」研究報告」によると、「90後」と比べ、家計収入のより高い「00後」において、より多くの人が小さいころから国を出て世界を見に行く機会を持っていた。
一方、少年児童の消費基礎と豊かさの判断基準となる個人預金では、同年代において、「90後」は約815元、「00後」は約1840元であり、「00後」の預金残高は「90後」の同年代の2―3倍となっている。
物質的条件の支援のほか、一連の実証研究によると、核家族化と少子化の傾向は伝統的な中国家庭の世代間の関係と子女養育方式を変え、父母と子女の間はより緊密で平等となり、子女の個性ニーズと自主意識がより尊重されるようになっている。
「テンセントの「00後」研究報告」の調査研究結果によると、子女の意見を聞く気のある「00後」父母の比率は「90後」より10%高く、53%の「00後」は年長者の前でみずからの考えを発表する度胸があるとされている。
若い世代が独特でさまざまな力を形づくる中で、インターネットの作用は極めて重要である。彼らの出生と成長は全てネットとともにある。彼らは小学生又は中学生の段階からスマートフォンを持ち、ブログ、ウィチャット、ネット文学、ネットゲームとともに成長し、その後、さらにTikTok、ビリビリ動画や小紅書があらわれた。
彼らのエンタメ、レジャー、社交等がインターネットによって実現されるようになるにつれ、「Z世代」は「オンライン」するのではなく、ネットの世界に生きるようになっている。
モバイルインターネットのコンテンツの大爆発も、これらの若者に早くから自己探索を行わせ、自己の趣味を発展させることになった。73%の「00後」は、積極的に資源を獲得することにより、みずから関心のある領域を発展させていた。
インターネットの「分散型」の特質は、「Z世代」の価値観をさらに形づくるものとなっている。権威感覚が低く、専門家でも把握していないことがあると考え、自分と異なる考え方に遭遇しても、他人に持論を受け入れるよう説得するよりは理解と許容を示すようになっている。
大金をはたいても自分の好きなものを買う
ユニークな成長環境により、「90後」と「00後」は全く新しい消費者グループになった。
「Z世代(1990年代中盤以降生まれ)」の消費選択は更に、消費の中で体験する喜びのためにお金を払い、感覚的な刺激と感情的な満足を追求する傾向がある。
「今50元余りで何が買える?ブラインドボックスを買えば喜びも買える。」近年人気のブラインドボックスはまさに典型的な例である。消費者は購入時に実際のデザインを見ることはできず、開梱後初めて知ることができる。
このような未知がもたらす新鮮さ、珍しいデザインを獲得できるかもしれないという興奮、一連の開梱する行為がもたらす没入型の体験が、「Z世代」に刺激から来る満足感を与えている。
天猫(Tモール)が発表した「「95後」愛好家のネットショッピング力ランキングリスト」によると、アートトイフィギュアへの投資指数は第1位で、20万人近くの消費者がブラインドボックスの収集に年間2万元を費やしており、購買力が最も強い消費者は、ブラインドボックスに年間100万元費やしている。
京東商城(JD.com)のビッグデータによると、2020年の「95後」のフィギュアとブラインドボックスの売上高の増加率は、全体のユーザーの増加よりもそれぞれ618%、235%高かった。若者のブラインドボックスに対する熱狂は更に、ブラインドボックスとアートトイを手がけるPOP MARTが上場に成功するのを後押しした。
このほか、推し活、二次元文化、バーチャルアイドルなどに代表される消費は、いずれも趣味の方向が明確な自己満足型の消費である。彼らは自分の趣味のために、ランキングをつくったり、関連グッズを購入したりする。
自分が好きなアイドルの公演や映画を応援するためにお金を使うのは当然のことで、好きなアニメや漫画を見た後、自分のできる範囲で好きなIPキャラクターの関連グッズやフィギュアを購入するのも基本的なやり方である。彼らの言葉を用いると、「大金をはたいても自分の好きなものを買う」のだ。
「騰訊(テンセント)「00後」研究報告」では、43%の「00後」が、自分の趣味のために多くの時間とお金を投資する意思があると明らかにしている。77%の「00後」は、自分がよく知っている、又は好きな要素を備えた製品にお金を払いやすい傾向がある。アニメ・漫画、学習・進学、ゲームなどのコンテンツ要素を組み合わせた商品は、「00後」の注目を集めやすい。
自分の趣味のために消費をして喜びを得るという最も直接的な体験と同時に、彼らは趣味を明らかにする過程で自己を表現し、同様の要望を探求している。
「Z世代」のユニークな社交様式が形成され始めている。彼らはオフラインでは誰も彼も皆「社交恐怖症」だが、オンラインでの議論は筋が通っている。彼らはモーメンツ(微信上の友人と情報共有をする機能)で「過去3日間に表示」され、微博で感情を発散するのが好きだが、実際の生活では静かだ。
この世代は分散化されており、画一的な趣味を持たず、より多元的な視野を持ち、興味が多様性に満ち溢れている。
「セコイア「00後」多領域エンターテインメント消費研究報告」によると、7割の「00後」は自身のSNSサークルを持っているが、比較的散在している。トップ3にはゲームサークル、小説サークル、アニメサークルがある。
「Z世代」は美容、ファッション、コスメの主力でもある。彼らは商品の価値をより重視し、デザインや美学に対して強い追求と表現欲を持っている。
天猫のデータによると、「Z世代」の1人当たりの平均ファッション支出総額は5万1260元で、今後も3.5%から4.5%の増加が続く。2020年上半期に天猫で漢服を購入した消費者は2000万人以上おり、2020年の「Z世代」がファッションシェアの30%を占め、前年比106%の増加率を達成した。
また、「中国「Z世代」高価なジュエリー消費白書」によると、2020年には「Z世代」がファッション消費の3分の1のシェアを占め、さまざまなカテゴリーの中で、最も宝石ジュエリーにお金を使うことを望んでいる。
4割以上の「Z世代」の女性がジュエリーを選ぶ際に最も重視するのは商品デザインであり、商品デザインが美しく見えるかどうか、そしてそれが自分自身に響くかどうかは、貴重なジュエリーを選ぶ上で最も重要な要素である。
コロナ感染症流行の時代には、アイメイクがメイクアップの焦点となり、カラフルで個性的なアイメイクが徐々に人気を博している。
〔「消費者報道」2022年第3期2022年6月8日〕