20年も前に世間に騒がれたある話だが、いまなお面白く思っています。

その頃、自民党から推薦された新議員佐藤ゆかりは、地元の知事を挨拶訪問した際、手を差して、握手を求めました。だが、知事は、彼女にひたすら頭を下げて、お礼を返したが、その手を見ててみないふりしました。

すると、知事のところに抗議のメールを千数通が殺到したという、恐らく彼の傲慢さを抗議しました。「なぜ抗議するのか」、外国人なら、さっぱりわからないだろう。

その後、知事は慌てて佐藤さんの事務所を訪ね、自ら握手を求めたことで、ようやく一件落着です。

 テレビをみた僕は、唖然としました。

 一般的にみれば、握手は、誰に対しても気軽にできる、最も一般的な挨拶と言えるでしょう。一方、頭を下げてお辞儀を言うことは、重く感じられる場合があり、頻繁に行われる行為ではありません。

特に、中国人の場合は、相手と握手を交わすならば、双方の関係が平等にあることを示す証です。一方、相手に頭を下げると、それは微妙な意味合いが読み取れます。相手より自分の身分や地位が低いと自ら認めるとも解釈できます。相手に謝罪するほどの感情をもこめて、頭を下げることもよくあります。

だから、佐藤さんの握手を求めることに応じて、知事が頭を下げたのは、よほど相手に尊敬の意を表しているのではないか?

日本文化を詳しくない外国人なら、きっとそう思っています。